『フォスター・フォーラムだより』第38号をお届けします

執筆者 | 9月 27, 2017 | メールマガジン

フォスター・フォーラムといえば投資信託と思っていらっしゃる方も少なくないと思いますが、実は、投資信託に長く関わってきたからこそ“投資の出発点は株式”という思いもあります。
賢い個人株主が健全な経済・金融商品の基礎となると考えるからです。
そこで、今回は、今年2月より当会の事務局メンバーと加わった川元由喜子さんに、昨今の金融経済教育で見落とされがちな株式の重要性・必要性について書いてもらいました。
なお、川元さんは、ライフワークとして「経済に強いママを増やす会」という活動に取り組んでいます。
10月21日午後に、茗荷谷の作楽会館で「土曜午後の経ママサロン〜『自分年金』を『楽』で『得』につくるには」というテーマで、昨今注目を集めているiDeco等の確定拠出年金を中心に、将来に備えた資産形成・運用の、基本的な考え方についてお話する予定とのこと。
詳細とお申し込みは、https://www.facebook.com/経済に強いママを増やす会経ママ-145360785632260/
フォスター・フォーラムは今年も東京都の消費者団体・グループの文化祭『くらしフェスタ』に出展します。
10月20日(金)と21日(土)の2日間、新宿駅西口イベント広場にて開催です。
http://kurashifesta-tokyo.org/2017/festa/index.html
『おとなの金融力ドリル』を使ったクイズや展示をしており、両日とも事務局メンバーが詰めています。
新宿方面にお出かけの際にはお立ち寄りください。
編集後記の末尾に、『顧客本位の業務運営』に関する取り組みについて、永沢が私見を書いております。
今回も最後までお読みいただけると幸いです。
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『フォスター・フォーラムだより』 No.38      2017年 9月26日
                          発行:不定期
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★―★ CONTENTS ★―★
1.株式から始めよう〜金融経済教育への提言
2. 編集後記
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  1. 株式から始めよう〜金融経済教育への提言
ここ数年の間に、NISA、iDeco、積立NISAと、個人向けの投資口座が続々と登場し、証券市場が個人の資産形成の視点から語られる機会も増えたように思います。
特にインデックス投信への投資が盛んになり、一般の個人投資家は、非常に分散の効いた投資を安いコストで行うことができるようになりました。
このことは大変喜ばしいことです。しかし同時に、一抹の不安も感じます。
あまりにも手軽に株式市場全体に投資できるようになった一方で、投資している本人は、何を買っているのか理解しているのでしょうか。
株式市場に投資するということは、突き詰めれば個々の株式に投資しているわけですが、実際投じたお金がどこでどうなっているのか、感じる機会がなくなっているようにも思うのです。
もちろん、すべての人がいちいち株式投資の意味を考えなくてもよいだろうとは思います。
しかし、誰に対してもインデックスでいいのだ、それ以上のことは知らなくていいのだ、ということにはなりません。
株式は経済を上手く循環させるためのシステムですし、株式市場は経済成長のエンジンでもあります。
そして経済とは、私たちの生活そのものです。学ぶ意欲のある個人は、株式市場についてもっと良く知ってほしいと思うのです。
残念ながら、一般の個人が株式について、または株式市場について、きちんと学ぶ場がほとんど無いというのが現状です。
しかし本来投資家としての多くの個人は、多様な考えと健全な常識を持った、懐の深い投資主体です。
そうした投資家の層が薄いことは、日本の株式市場にとって、非常に不幸なことであると思います。
個人投資家は、決して弱く愚かな存在ではありません。
企業の経営の良し悪しを見定め、経済成長のためのリスクをとることのできる個人は多数存在するはずです。
株式市場のもたらす恩恵、その実力を十分理解しようとしないことで、日本はずい分と損をしているように見えます。
個別の株式に投資する人もしない人も、できれば株式市場にあまり興味のない人にも、株式市場に対する偏見を取り去って、株式市場がどんな機能を果たしているのか、株式に投資することはどんな意味を持つのか、知っていただきたいのです。
そしてもし興味を持てるならば、そういう人には個別の株式に投資するということも、やってみていただきたいと思います。
フォスター・フォーラムでも、何らかの方法で、株式をテーマにした講座を提供してみてはどうかと考えています。
例えばこんな構成で。
Ⅰ 株式とはどんなシステムか
  • 株式会社の始まり
  • 株式会社のメリット・デメリット
Ⅱ 株式に投資するとはどういうことか
  • 企業の資金調達とバランスシート
  • 価値の源泉
  • リスクとリターンということ
  • 株主になるということ
Ⅲ 投資の視点
  • 投資するために必要な指標
  • ROE・PBR・PER
  • 配当、配当利回り、配当性向、内部留保
  • 「割安株」と「成長株」
Ⅳ 実際に銘柄を選ぶ
  • 四季報の活用
  • ウェブサイトで得られる情報
  • 色々な情報ソース
Ⅴ 良い企業とはどんな企業?
  • 株主総会・株主優待の話
  • コーポレート・ガバナンスとは
特にⅡの、株式に投資するとはどういうことか、という項目。
価値の裏付けがあって投資している、ということを理解していただきたいと思います。ⅢやⅣは、現実に投資するための知識ですから、インデックスや投信に話をとどめるのであれば、景気動向と株価の関係や、金利と株価の関係など、マクロ経済に触れるのもよいでしょう。
Ⅴはコーポレート・ガバナンスの議論です。これはアベノミクス以降、話題になる機会が非常に多くなりました。
企業の社会的責任という側面は、株式に対する興味に関わらず、一般に関心が高いのではないでしょうか。
語るべき論点は多々あると思いますが、現状の金融教育の取り組みは、まだどうしても株式市場を基本的にはネガティブにとらえているように見えます。
危ないものの取り扱いをどうするか、個人投資家を危険からどう守るか、という視点にとどまっているように見えるのです。
私はいつも、日本では株式市場が「必要悪」だと思われている、と表現していますが、金融教育をリードする立場にある方々とは、株式市場が経済にとって重要な役割を果たすポジティブな存在である、という信念を共有したいと思っています。
(報告者:川元由喜子)
2.編集後記
◆お会いする方々から「病気かと思った」と心配していただき、こうして細々と配信を続けてきたメルマガですが、気にかけてくださっている方がいらっしゃるとわかり、大変勇気づけられました。ありがとうございます。実は、昨年からフィデューシャリー・デューティーとフィンテックの会議に消費者側の委員として参加する機会が増え、メルマガの読者の皆様にこれらのテーマについて分かりやすく伝えたいと思っていたのですが、勉強すればするほど私の頭の中は混迷を極め、スランプに陥ってしまいました。おかげさまで、事務局メンバーに2月から川元由喜子さんが、10月からは長谷川摂さんが事務局メンバーに加わってくださいました。資産運用の分野で頑張ってきたお二人です。多様な経験・視点で情報発信をしていきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
◆メルマガをお休みしていた間に、一般会員の方々を対象に、偶数月の第2水曜日にサロンを再開しました。お昼休みに八重洲の某事務所の会議室で開催しています。毎回、メンバーの一人に40分程度お話ししていただき、その後に自由に情報・意見交換をしています。お弁当持参、途中参加・退席可能な集まりです。一般会員については、ホームページのこちらをごらんください。
◆フィデューシャリー・デューティー改め『顧客本位の業務運営に関する原則』の取組み事例の公表が相次いでいます。会社の個性が見えて、面白いです。また、各所でいろいろな事例を紹介されますが、その中でも「これはいい」と思ったのが、関東圏のある地銀さんです。支店の営業担当者に“売りたくない商品”の投票をしてもらって、仕入れる商品の決定の資料として使っているとのこと。地銀の場合、大株主である保険会社やメガバンクとの付き合いもあって、取扱い商品の選定はなかなか政治的な要素もあるようですが、お客様に売ってはいけない商品は、現場の担当者が一番ご存知なんですよね。現場の声を拾って経営に活かすという姿勢に一票を差し上げたいと思いました。一方で、ちょっと残念なものもありました。投資信託の繰り上げ償還への取り組みです。残高の少ないファンドを走らせ続けることは受益者にとっても良いこととは限りませんし、経営効率を考えるとファンド数を絞っていくというのは重要な経営判断だと思います。とはいえ、繰り上げ償還はお客様と交わした当初の約束を破ることです。販売手数料が3%で信託期間が10年というファンドの場合、購入する側は、そんなことは具体的に意識していないかもしれませんが、1年あたりの販売手数料の負担は0.3%となるわけです。ところが、仮に半分の5年で繰り上げ償還されてしまったら、結果的に1年あたり0.6%の負担をさせられたことになります。また、細かいことを申すようですが、購入時から値上がりしている場合には、償還になると、利益の部分に課税されてしまい、再投資額がその分少なくなってしまいます。これって顧客本位と言えるでしょうか。ファンドをそのまま走らせろと言っているわけではありません。繰り上げ償還するにしても、顧客に誠意を尽くしたと言える手続きをきちんと踏んでいただきたいと思いますし、そもそも、繰り上げ償還をしなくてはいけないような商品の設定をしてしまったことが経営的にはバッテンなのではないでしょうか。厳しいことを申しましたが、安易な繰り上げ償還ではなくファンドの併合への取り組みを是非進めていただきたいと思っています。併合第1号が実現した時には、「頑張りました賞」を差し上げようではありませんか。(永沢裕美子)