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『フォスター・フォーラムだより』第19号をお届けします。

今回は、昨年6月から官民挙げて推し進められている金融経済教育の取組みを紹介しています。

 

フォスター・フォーラムでは毎月、“FFサロン”と称した集まりを催しています。

先月は昼の時間帯に“ミニ学習会” (詳細はhttp://fosterforum.jp/) を開催しましたが、

今月は7月29日の夜に新宿三丁目の居酒屋で夜のサロンを開催します。

フォスター・フォーラムの活動に関心のある方のご参加、歓迎いたします。

お席の予約の関係上、当会ホームページのお申し込みフォーム(http://fosterforum.jp/contact/)より、「7月29日の夜のサロンに参加希望」とご記入いただき、お申し込みください。

 

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『フォスター・フォーラムだより』 No.19                   2014年  7月16日

発行:不定期

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★―★ CONTENTS ★―★

1.  「金融経済教育推進会議」の取組みについて

2. 編集後記

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1.    「金融経済教育推進会議」の取組みについて

 

今再び、官民挙げての金融経済教育の取組みが行われています。

中心的役割を果たしているのが、昨年6月に設置された「金融経済教育推進会議」です。

事務局が置かれている金融広報中央委員会より、この1年間の取組み成果について、6月18日にプレスリリースが行われています。

http://www.shiruporuto.jp/teach/consumer/suishin/pdf/seika.pdf

 

成果物の中心にあるのが『金融リテラシー・マップ』です。

『金融リテラシー・マップ』は、昨月4月に金融庁(正確には、金融経済教育研究会)が公表した『最低限身につけるべき金融リテラシーの4分野・15項目』を、年齢別に具体化・体系化したものです。

具体的な内容はこちらからご覧いただけます。

http://www.shiruporuto.jp/teach/consumer/literacy/pdf/map.pdf

 

金融教育元年が宣言された2005年の時には、「貯蓄から投資へ」が盛んに言われた時期であり、投資教育的な色彩が強かったように思いますが、

今回の取組みでは、「自立し、より良く生きるために、最低限身につけておくべき金融リテラシー」を学ぶ機会を国民に保障することに力点が置かれています。

金融に関する知識だけでなく、健全な家計管理・生活設計の習慣化や、契約にかかる基本的な姿勢の習慣化等の消費者教育的な内容等も含まれています。

金融資産ゼロ世帯が若年者を中心に急増していることや、昨年12月に消費者教育推進法が施行されたこと等、

この10年で日本の社会が大きく変わってきていることが背景にあると言えます。

 

これまでの取組みでは、高校生以下の学校教育に力点が置かれ、成人教育は二の次になりがちだったように思いますが、

今回の取組みでは、大学生以上の層を大学生、若年社会人、一般社会人、高齢者という年齢層に分けて、それぞれの層に対応した学習課題が示されています。

 

課題は、成人向け教育をどこでどう行っていくかです。大学や、地域の消費生活センタ―、公的な社会教育の場の他、企業年金の中で行われている導入教育や継続教育に大きな期待が寄せられています。

推進会議には金融庁、消費者庁、文部科学省が参加していますが、厚生労働省の参加も待たれるところです。

 

2. 編集後記

★ありそうでなかった教材・・・金融広報中央委員会が今年3月に作成した『大人のためのお金と生活の知恵』です。主に中高年を対象に作られています。ページ数も23ページと、最後まで飽きずに目を通すことができます。今さら聞けないような基本的なことも分かりやすく説明されています。「ああ、そうだった」という気づきに出会える一冊です。一読をお奨めします。お読みになりたい方は、金広委の刊行物担当(books@saveinfo.of.jp)に冊子をご請求いただくか、こちらのHPからでもお読みいただけます。http://www.shiruporuto.jp/life/arakaruto/otona/

★本当に大丈夫?・・・投資法人及び投資信託が投資できる資産(特定資産)に再生エネルギー発電設備や公共施設の運営権を追加するための投信法施行令の改正案が公表され、パブコメ募集(7月7日締切)が行われました。国のお金には限りがありますから、Jリートに倣って投資法人を使ってインフラファンドを作り、それを上場して民間のお金を集め、インフラ整備に活用するという構想にはもちろん賛成なのですが、改正案をよく見ると、投資信託でもこうした資産に投資できるように規制緩和が行われようとしています。市場価格が容易に入手できる有価証券と違って、こうした資産は市場価格を入手することがほぼ不可能であり、適正に基準価額を日々算出すことができるのか、不安があります。仮に、投資家の資金の出入りを制限し、基準価額の算出回数を減らした(例えば年に数回)としても、こうした資産の取得価格の妥当性は誰がチェックし、受益者に対して責任を負うことになるのでしょうか。投資信託でこうした資産に投資をすることについては、慎重な議論が必要なように思います。なお、提出した意見書は、このメールマガジンの最後尾に添付しています。 (担当者:永沢裕美子)

★=★=============================★=★このメールマガジン及び当会の活動についてのご意見・ご質問等は、下記アドレスにお願いいたします。なお、このメールマガジンは当会メンバーがお名刺交換をさせていただいた方々にお送りさせていただいております。大変恐れ入りますが、配信がご迷惑な場合も下記アドレスまでご連絡をお願いいたします。

このメールマガジンを引用または転載される場合も、下記アドレスにご一報ください。

メールアドレス:foster@fosterforum.jp

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発行元/フォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)

http://www.fosterforum.jp/

 

(以下、永沢の意見書)

投資信託及び投資法人に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)に関する意見

1.意見の趣旨

インフラ投資への民間資金の導入のために、上場インフラファンドの創設やそのための制度面での支援として、再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権を投資法人の特定資産に追加することには賛成しますが、これらの資産を投資信託の特定資産に追加することには、投資家保護の観点から問題があると考えるため、反対します。

 

2. 理由

『規制の事前評価書』では、投資法人及び投資信託に係る特定資産の要件として、「専門家等による客観的な価格評価が可能な資産であること」と「キャッシュフロー創出の可能性」の二つを挙げています。これら二つの要件は、投資判断に最低限必要不可欠な情報であり、これら情報について適切(本当は正確と言いたいところですが)かつ適時の情報開示が担保されることが、投資家の保護ひいては健全な市場の育成に欠かせないものであると考えます。

この二つの要件を充当しているかについて、今般特定資産への追加が予定されている再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権(以下、本件資産という。)について見てみると、後者の要件についてはともかく、前者の要件を充たしていると言えるのか、甚だ疑問に思います。というのも、本件資産の客観的な価格評価を担う「専門家等」なるものが存在していないと考えるからです。自前の調査評価手段を有する機関投資家が投資をする場合は問題ないと考えますが、そうした手段を持たない一般個人の資金も導入する場合は、例えば不動産における不動産鑑定士のような社会的に独立性・中立性があると認知された専門家による価格評価が必要であると考えます。

本件資産の価格評価については様々な課題があることから、本件資産への投資判断(主に取得価格が妥当かどうか)へのチェック(ガバナンス)機能が適切に働くことが不可欠と考えます。この点から、監督役員の設置が義務づけられている投資法人は格別、受託会社が実質カストディアンとしての役割しか担っていない投資信託においては、取得価格の妥当性のチェック(ガバナンス)の点で大きな不安があります。

また、投資信託の場合は、その時々の基準価額(純資産価額)で投資家が参加・途中退出する(いわゆるオープンエンド型の仕組み)のが一般的ですが、本件資産が投資対象とされた場合には適正な基準価額の算出を日々行うことは不可能であり、投資家間の公正な取扱いという点でも禍根を残す問題を生じさせることになることが懸念されます。

以上の理由から、投資法人については本件資産を特定資産に追加することは、インフラファンド市場の創設の必要性・重要性に鑑み、賛成いたしますが、投資信託については投資家保護の観点から問題があると考えるため、反対します。

以上