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今回は、金融庁関係として、4月末に公表された「金融経済教育研究会・報告書」等について報告しています。
来年1月から導入される小額投資非課税制度(日本版ISA)の愛称が「NISA(ニーサ)」に決まりました。金融機関の間では、遅れてはならじとばかりに、一斉にニーサの口座獲得に走り始めている感がありますが、期待が膨らみ過ぎて、はじけなければいいけど・・・と心配になってしまいます。この制度、英国のISAを参考にしているそうですが、三菱UFJ投信の浦野通雄業務部長の『英国出張報告シリーズ』は、ISAについて、歴史やビジネスの視点からも報告されていて、とても参考になりました。皆様と情報共有させていただきたいと思います。
http://www.am.mufg.jp/nisa/column/uk/index.html
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『フォスター・フォーラムだより』 No.11 2013年5月26日
発行:不定期
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★―★ CONTENTS ★―★
1. 金融庁関係報告
(1)国の金融教育の取組み、次のステージへ
(2)金商法等改正法案、国会での審議始まる
2. 編集後記 〜 米国の『投資家詐欺調査最終報告書(2006年)』から見えること
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1. 金融庁関連報告
(1) 国の金融教育の取組み、次のステージへ
このメールマガジンでも経過報告をしてきた金融経済研究会の報告書が、4月末に公表されました。報告書は金融庁のこちらのページからお読みいただけます。
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20130430-5/01.pdf
時間のない方は、報告書の概要(2ページ)をご覧ください。
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20130430-5/02.pdf
金融(経済)教育が言われるようになって久しいことから、「いまさら」という声が聞こえてきそうですが、今回の研究会では、行動面や判断力を重視し、生活スキルとしての金融リテラシーに焦点をあて、国民に身につけてほしい4分野15項目を示した点は、一歩前進と言えるのではないでしょうか。
これまでの金融教育は、どちらかというと「知っている、分かる」ことに比重が置かれてきました。「◯◯ができる」、例えば、自分に必要な情報を集めることができる、比較することができる、選択することができるための学習の機会が、とりわけ成人向け金融教育として必要なように思います。
もちろん、報告書に示された15項目に関して、この項目・この内容でいいのか?といった批判、意見は避けられないでしょう。議論を恐れず、多くの人に意見を言ってもらって、必要ならば修正していくという姿勢が必要だと思います
報告書では、金融教育の担い手として金融業界に大きな期待を寄せています。金融教育を推進していくためには、金融業界の力が必要であることは言うまでもありませんが、金融機関が「教育」と銘打って行っている取組みの中に、「教育」とは言い難いものも含まれているように思います。特定の商品の購入を動機づけるための「販売勧(マーケティング)」と「教育」の区別を付けていただくことが必要と思います。
(2) 金商法等改正法案、国会で審議中
4月15日に国会に提出された「金融商品取引法等の一部を改正する法案」の審議が行われています。今月25日には衆議院財政金融委員会で可決されており、今国会で成立の見通しが高いとのことです。
この法案には、最近世間の賑わせたインサイダー取引事件やAIJ事件に対応した規制の見直しの他に、このメールマガジンでも報告させていただいた投信法制の見直しに関するものが含まれています。
金融庁に出向されていた有吉尚哉弁護士が、今回の改正法案のポイントを分かりやすく説明されています。関心のある方は、こちらのページをご覧ください。
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/outlook/2013043000014.html?ref=com_rnavi
(報告者:永沢裕美子)
3. 編集後記
「投資詐欺の被害者グループは、被害にあったことのないグループと比較して、高い金融知識を有している。」 −−− これは、2005年に米国で、高齢者をターゲットとした金融・投資詐欺手法を調査し、被害者の特徴を分析することを目的として行われた『投資家詐欺調査』の最終報告書の中で報告されている一文です。こうした調査、わが国ではまだ行われていませんが、自分の周囲で投資詐欺の被害にあった人々の話から推察するに、同様のことが言えるのではないかと感じています。
投資詐欺事件が発生すると、「被害防止のためには金融教育が必要」という話になります。しかし、知識偏重型の金融教育は必ずしもよい結果をもたらすとは言えません。合理的な判断力や、情報のソースや取引業者を疑ってみる目を養うことが、被害者とならないためには必要です。今回の金融経済教育研究会報告書で示された「15項目」の中に、これらの項目を入れていただけたことは、大変よかったと思っています。
最後に、上記の米国の報告書では、投資詐欺の被害者グループについて、「自分の経験に頼りがち(人に相談しない)」「セールスに寛容(話を聞いてしまう)」「被害の届出が低水準」等の特徴も指摘しています。報告書の詳しい内容を知りたい方は、こちらのページからお読みいただけます。
http://www.sec.gov/news/press/extra/seniors/nasdfraudstudy051206.pdf
(編集後記担当:永沢裕美子)
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