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当会では、これまで投資信託を中心に様々な提言をしてきましたが、生活者が身近に利用する金融商品である保険の在り方にも注目しています。
今回のメールマガジンでは、金融審・保険の在り方WGが取りまとめた「新しい保険商品・サービス及び募集ルールのあり方」と題する報告書(6月7日公表)について取り上げています。保険にも投資信託と共通する課題があることがわかります。最後までお読みいただけると幸いです。
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『フォスター・フォーラムだより』 No.12 2013年7月7日
発行:不定期
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★―★ CONTENTS ★―★
1. 金融審・保険の在り方WG報告書より 〜 保険募集の基本的ルールの創設や募集文書の簡素化等を提言
2. 編集後記
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1. 金融庁(金融審)関連報告
◆ 保険の在り方WGの報告書より
昨年一年間、投信法WGでの検討・審議について報告をさせていただきましたが、同時期に、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ(通称 保険のあり方WG)も設置され、一年以上にわたって16回の審議が行われてきました。6月7日に、検討結果が取りまとめられ、報告書が公表されています。
報告書は金融庁のこちらのページからお読みいただけます。http://www.fsa.go.jp/news/24/singi/20130611-2.html
この保険のあり方WGでは、少子高齢化対策として、不妊治療保険や保険子会社を通じての保育園経営といった新しい保険商品やサービスについて検討された他、保険の募集・販売ルールのあり方について、注目すべき提言を行っています。ここでは、二つ紹介したいと思います。
一つが、保険募集の基本的なルールの創設です。報告書は、
① 「顧客の意向を把握し、意向に沿った商品を提案し、商品について意向とどのように対応しているかも含めて分かりやすく説明することにより、顧客自身が自らの意向に沿っているものであることを認識した上で保険に加入できるようにする必要がある。」との趣旨の「意向把握義務」規定を法律上設けること
② 顧客による商品内容等の正しい理解を確保するため、保険会社や保険募集人が保険募集を行う際の「情報提供義務」について明示的に法令において位置づけること
③ 募集文書の簡素化(但し業界の自主的な取組み)、などを提言しています。
保険商品も多様化や複雑化が進んでおり、消費者が合理的な選択を行うことが難しくなっています。投資信託において、適合性の原則や説明責任の義務づけ、目論見書の簡素化が行われてきたように、保険の分野においても同様の規制強化が必要となってきていることが、この報告書から読み取れます。
また、募集文書の簡素化は、単に薄くするだけではなく、一般消費者が読めて理解できるものとすることが必要です。当会も読み手の立場から業界に対して様々な提言をしていきたいと思います。
もう一つは、複数の保険会社から委託を受けて募集を行う乗合代理店の規制の提言です。報告書は、複数の保険会社の同種商品を比較して、その中から一つを選んで推奨を行う際には、①取扱い商品のうち、比較可能な商品の全容を明示すること、②特定の商品を提示・推奨する際には、推奨の理由を分かりやすく説明することを求めています。
同WGでは、乗合代理店が比較推奨販売を行う場合に、受取る手数料の開示を義務づけることも検討されたようですが、一律に開示を求めることは見送り、当局の検査・監督によって検証を行うことが重要という提言にとどめています。
また、報告書は、むすびにあたって、消費者が保険に関して一定程度の知識を持てるようにすることが重要であり、金融教育の推進を求めたい、と述べています。
今後、この報告書を受けて、保険業法等の改正が行われることになる見通しです。
2. 編集後記
報告書で、顧客把握義務や情報提供義務がこれから法令に書き込まれるということを知り、今まで法定されていなかったことに驚きましたが、考えてみれば、法律で定めるまでもない当然の責務であろうとも思います。しかし、こうした義務を明文化して、事業者に責任を問わなくてはならない程、あれこれとトラブルが発生しているということなのでしょうか。
今回紹介した報告書でも、消費者への教育の必要性に言及していますが、何を理解し習得すると、保険が分かるようになり、合理的な選択ができる消費者を育てることができるのか、もっと踏み込んだ提言が欲しかったように思いました。
当会では今後、保険についても利用者の立場で提言を行っていきたいと思っています。
(担当:永沢裕美子)
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