『フォスター・フォーラムだより』第25号をお届けします (4/18)

執筆者 | 4月 18, 2015 | メールマガジン, 未分類

当会では、今年度は生命保険について皆様と共に学ぼうと、公開学習会を企画・開催しています。

第一回は生命保険のメーカーであるライフネット生命の出口治明さんに、第二回は保険の販売現場に詳しい保険ジャーナリストの石井秀樹さんにそれぞれ講師をお願いして開催しました。

今回のメルマガでは、この二回の学習会について報告しています。

 

〜「生命保険について学ぶ会」の第三回のご案内〜

6月19日(金)夜、日比谷図書文化館の小ホールにおいて開催いたします。

今回は、消費生活専門相談員として生命保険に関する消費者トラブルの解決と予防に力を尽くされてきた丹野美絵子さん(現・国民生活センタ―理事、当会基本会員)に講師をお願いして開催します。

参加者の皆様とのフリーディスカッションも予定しています。

学習会の詳細とお申し込みはこちらからお願いします。

http://kokucheese.com/event/index/285811/

第1回と第2回に参加されていなくても参加できますが、

消防法の関係で定員(50名)厳守ですので、必ずお申込みをお願いいたします。

 

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『フォスター・フォーラムだより』 No.25       2015年  4月18日

発行:不定期

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★―★ CONTENTS ★―★

1. 公開学習会「生命保険について学ぶ会」第1回&第2回の開催報告

2. 編集後記

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1.公開学習会「生命保険について学ぶ会」第1回&第2回の開催報告

 

今年度の活動の柱のひとつとして「保険について学ぶ会」を企画・開催しています。

第1回、第2回について報告します。

 

 

  • 第1回「生命保険の役割、これまでとこれから」

〜1月31日開催(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会と共催)

ミスター生保とも称され「生命保険は誰のものか」の著書もある出口治明氏(ライフネット生命保険代表取締役会長兼CEO)を講師に迎えて開催しました。

 

出口さんは、最大手の生保会社で監督官庁担当(業界用語でMOF担といいます)等要職を歴任された後、戦後初の独立系生命保険会社を立ち上げたという経歴の持ち主です。

戦後の日本の生保業界や生命保険の発展を導いたものは何だったのかをお話いただいた後、21世紀の生命保険はどうなっていくのか、予測していただきました。

 

出口さんのお話から、少子高齢化や家族形態の多様化により生命保険業界が商品・販売戦略の転換に迫られていることがよく分かりました。

生保各社はこれまで、大量のセールス部隊を抱え、訪問対面により自社の保険商品を販売する製販一体型で契約を獲得してきました。

しかし、これからの日本では人が稀少な資源となってきます。

少子高齢化でお客様が消えることを心配する声がありますが、その前に“セールスが消える”という出口さんの言葉が印象に残りました。

 

それでは、生保各社はどうやって保険を販売していくのでしょうか。

インターネットを使った直販に加えて、製販分離型が進み、異なる保険会社の商品を取り扱う乗合代理店(銀行や保険ショップ)が拡大すると出口さんは予測されました。

 

ところで、乗合代理店は保険を売り、保険会社から販売手数料を得て儲けています。

このような関係では、消費者はベストアドバイスを売り手に期待することは難しいと言えます。

それでは、どうすれば募集人のベストアドバイス義務を担保できるのでしょうか?

一つの解決法として、米国ニューヨーク州の取組みについて紹介がありました。

ニューヨーク州では州法で、ベストアドバイス義務を担保するために販売コミッション開示を募集人に義務づけたとのこと。顧客が希望する場合には金額も開示しなくてはならないそうです。

 

日本では販売手数料の開示はまだ義務づけられていません。

他の金融商品では報酬の開示が一般的になってきています。保険も例外とは言えないように思います。これからの課題の一つと言えます。

 

  • 第2回「変わる保険販売、これまでとこれから」

〜3月26日開催(フォスター・フォーラム主催)

第2回は、保険会社や保険販売の現場を長年取材してきた保険ジャーナリストの石井秀樹さんを講師にお迎えしました。

 

2016年5月施行の改正保険業法の内容を詳しく確認するとともに、消費者との接点となる販売チャネルの状況を、データも交えて説明していただきました。

銀行窓販の開始と、保険ショップの台頭により、保険販売の現場が大きく変わりつつあること、そこに改正保険業法の影響が加わると、今後どうなっていくのか…、興味深い内容でした。

 

このような変化に消費者がどう対応していくべきかを考えたとき、保険や金融・経済の知識はもちろんある程度必要ですが、それ以前に、自分の家計にはどのような保障が必要かを判断する、いわば家計運営の基礎学力のようなものが必須であると感じました。

 

各販売チャネルでは、改正保険業法の施行に対応するための準備が始まっているようです。

改正保険業法では、消費者の「意向把握・確認」を義務化しており、消費者の意向とは、消費者自身と家族がどう生活したいのか、そのためにお金をどれくらい保険に配分し、どのような保障を確保するかという消費者の意思に他なりません。

高度経済成長の時代とは大きく変化した社会の中で、消費者は保険をどう活用すべきなのでしょうか?

石井さんは「保険会社にお任せはもう通用しない、消費者も変わらなければ」と力強くお話しされました。

 

(報告者:永沢裕美子、坂本綾子)

 

 

2. 編集後記

  • 「なぜ日本では保険の販売手数料の開示が進まないのでしょうか?」この質問に、「欧米と比べて日本の消費者の力が弱いから」との指摘を学習会の講師の方から頂きました。

金融庁は、2月中旬に公表した監督指針案で、大手の乗合ショップに対し、保険会社から受け取る手数料等を記載した事業報告書を年に1回金融庁に提出することを義務づけました。http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H4A_Y5A210C1PP8000/

金融庁が消費者に代わって販売手数料の水準をチェックすることにより、販売のあり方の是正を図ろうとするものだと評価はできますが、行政の監視だけでは真の市場の是正は期待できないのではないでしょうか。手数料の開示に向けて、説得力ある意見を述べることができる消費者グループが育つ必要性と、そのための学習の必要性を改めて感じています。

  • 昨年何度か報告した投資型クラウドファンディングに関する具体的なルール案が金融庁と日本証券業協会によって公表されました。訪問や電話による勧誘の禁止やクーリングオフが導入された点は評価できると思います。

http://www.jsda.or.jp/katsudou/public/bosyu/files/20150227_sankou.pdf

新聞では「ネットで個人が未公開株やベンチャービジネスに少額投資できるようになる」と伝えていますが、出資が報われる可能性は極めて低いこと、換金しようと思ってもできないため資金回収は難しいこと、出資した後の情報開示は担保されないことを理解した上で、最後まで自己責任を全うできる人だけが参加すべきでしょう。マスコミには、規制緩和の光の部分だけでなく、陰の部分(注意喚起)を併せて行うことを忘れずにお願いしたいものです。

(担当者:永沢裕美子)

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