今回は、4月28日に金融庁が公表した「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ 中間報告」について報告しています。
当会では、今年度は生命保険について皆様と共に学ぼうと、公開学習会「生命保険について学ぶ会」を企画・開催しています。
第3回を6月19日(金)夜、日比谷図書文化館の小ホールにおいて開催いたします。
今回は、消費生活専門相談員として生命保険に関する消費者トラブルの解決と予防に力を尽くされてきた丹野美絵子さん(現・国民生活センタ―理事、当会基本会員)が講師を務めます。
消費者にわかりやすい保険販売はどうあるべきか、また、今回の保険業法改正の背景、経緯についてお話します。
参加者の皆様とのフリーディスカッションも予定しています。
第1回と第2回に参加されていなくてもご理解・ご参加いただけます。
学習会の詳細とお申し込みはこちらからお願いします。
http://kokucheese.com/event/index/285811/
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『フォスター・フォーラムだより』 No.26 2015年 5月19日
発行:不定期
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★―★ CONTENTS ★―★
1. 金融審議会・決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ 中間整理
2.編集後記
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1.金融庁・決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ 中間整理
金融庁が、金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(座長 岩原紳作 早稲田大学大学院法務研究科教授)がとりまとめた「中間整理」と題する報告書を公表しました(4月28日)。
この報告書では、まず、利用者と関係の深いリテールや企業向けの決済サービスについて、次いで、これらのサービスを支える決済インフラ、また、横断的事項である決済システムの安定性と情報セキュリティ、イノベーションの促進と利用者保護の確保について記述されています。
その上で、アクションプランの策定など今後更に検討を進めていく必要のある課題について整理が行われています。
なお、本中間整理の取りまとめを受けて、金融庁は本スタディ・グループをワーキング・グループに改組し、更に審議を進めていく予定としています。
報告書は金融庁のホームページのこちらからお読みいただけます。http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20150428-1/01.pdf
このスタディ・グループに一般利用者の立場で参加しましたが、なるほどと思ったり、これは注視していくべきと思ったことがありました。以下、簡単に報告させていただきます。
一つは、「アンバンドリング化」です。
決済の分野で「アンバンドリング化」とも言うべき構造変化が進行していることが報告書でも指摘されています。
「アンバンドリング」とは、バンドリング(束ねる)という言葉の反対語で、束ねたものを解くという意味ですが、
決済サービスを構成する業務や機能の分化が起り始めています。
アンバンドリング化によって新規参入のチャンスが広がり、新しいサービスを創造する原動力になっていますが、その一方で、決済サービスの構造が多層化・複雑化し、利用者保護の点で新たな課題が生じていることも見落とせません。
二つ目は、ノンバンク・プレーヤーが決済を起点に銀行業務や総合金融サービス業務に参入してきていますが、これに対して、銀行は銀行法で縛られていて不公平ではないのか?という意見が聞かれました。
楽天などの流通業の金融業への参入・台頭は、個人客への依存度の高い銀行にとっては脅威となっていると思いますが、なぜ銀行業には厳しい規制が課されてきたのか、歴史的な経緯も踏まえた上で、慎重に検討すべきように思います。
なお、この問題は、決済高度化に関するワーキング・グループとは別に設置される金融グループを巡る制度のあり方ワーキング・グループ(5月19日に第一回開催)で審議される見通しです。
三つ目は、全銀ネットと呼ばれる銀行間ネットワークによって構成されている決済システムについてです。
私たち一般利用者にとって特に大事なのが情報セキュリティの安全性です。
これまでは、外部接続先を金融業界内に限定することによって、セキュリティ侵害のリスクを低下させるとともに、万一問題が発生した場合の損失・責任については、基本的に銀行が負担することで対応してきました。
しかし、オープン化されるとなると、そうはいかなくなりそうです。
銀行その他の多様な事業者と利用者がどう責任を分担するか、新しいルールづくりに向けた議論と併せて、利用者のリテラシー向上が言われることになりそうです。
(報告者:永沢裕美子)
2. 編集後記
金融庁のスタディ・グループに参加して、クレジットカード取引で顕著な「アンバンドリング化」の動きが起きていることを知りました。
クレジットカード取引では、カード発行会社と加盟店契約会社が異なるスキーム(オフアス取引というそうですが)が一般化していますが、近年、加盟店契約会社と加盟店との間に決済代行業者が介在するスキームが急速に広がっており、取引構造が多層化・複雑化しているそうです。
国内の加盟店契約会社は審査が厳しく、中小零細な事業者は加盟店になることが難しいという事情がありますが、決済仲介業者の中には海外の加盟店契約会社を経由した取引を使って、こうした中小零細な事業者にクレジットカード利用環境を提供するようになっています。
利用者にとってクレジットカードを使える場面が増えることは便利ではありますが、悪質な事業者と取引をしてしまうケースも増えており、利用者が見えないリスクに晒され始めていることに気付かされました。
この問題は、昨年8月に消費者委員会が行った建議を受けて、経産省の産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会で審議が行われ、12月に「中間的な論点整理」と題する報告書が公表されています。
報告書はこちらからお読みになれます。http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shojo/kappuhanbai/pdf/report_01_01.pdf
パブリックコメントの募集も行われており、その結果が公表されています。
事業者と消費者団体の意見が対立しているようです。
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2015/188/doc/20150324_shiryou3_2_2_betu2.pdf
当会としては、決済の分野で起きている動きも注視し勉強して報告していきたいと思っています。
(担当者:永沢裕美子)
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