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今回は、永沢裕美子がメンバー参加している金融庁・金融経済センターの
「金融経済教育研究会」について報告します。
また、フォスター・フォーラムが注目する業界の取組みとして、今回は投資信託協会を
紹介させていただきます。
編集後記では、草の根の金融経済学習活動家として活動されている岡本和久さんら
主宰の月刊誌「『長期投資仲間』通信~インベストライフ」(無料)について紹介。
なお、永沢裕美子が同誌vol.122(2013年2月15日発行)に「英国と米国の投資信託の
歴史から学ぶ」と題して、投資信託の形態の変遷に焦点を当てた記事を寄稿しました。
http://www.investlife.jp/ ご一読いただけると幸いです。
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『フォスター・フォーラムだより』 No.9 2013年3月4日
発行:不定期
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★―★ CONTENTS ★―★
1. 金融庁で再び金融経済教育を検討中
2. フォスター・フォーラムが注目するベター・プラクティス
投資信託協会~通貨選択型投信の目論見書の文言を見直しへ
3. 編集後記
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1. 金融庁で再び金融経済教育を検討中
金融庁に、昨年11月に金融経済センターに「金融経済教育研究会」が設置され、
毎月1回のペースで開催されています。
メンバー等は金融庁のホームページのこちらをご覧ください。
http://www.fsa.go.jp/frtc/kenkyu/20121108.html
この研究会は、昨年のG20やOECD等の場で、各国が金融経済教育を推進して
いくことの重要性が確認されたことを受けて設置。
サブプライム問題によって発生した金融危機の反省から、利用者保護や金融システム
の安定化のためには、当局による規制だけでは限界があり、危機のような局面で、
国民一人一人が冷静に合理的な金融行動をとれることが必要との認識を、先進諸国
が共有するようになったことが、こうした動きの背景にあります。
研究会は5回目を終わったところですが、これまで、関係省庁や団体(金融庁、
金融広報中央委員会、文部科学省、消費者庁)、業界団体、日本FP協会等が
それぞれの取組みを報告しました。
わが国で金融経済教育の重要性が言われるようになって10年以上経ちましたが、
さまざまな場での検討を一カ所に集約した点で意義のあるものと言えます。
また、第3回には、英国のFSAで金融に関する消費者教育やリサーチに携わって
おられたポール・ハンター氏(現在は国際銀行協会事務局長)を招き、英国の
金融経済教育の取組みについて伺いました。
英国の取組みは文献等で紹介されているものの、担当者から直接お話を伺う機会は
得難いものです。
今後の日本での 取組みに役立つ情報や示唆がたくさんありました。
同研究会は、会議は非公開ですが議事録や資料は全て公開されており、Web上
でお読みいただけます。
http://www.fsa.go.jp/frtc/kenkyu/kenyukai.html
今後は金融経済教育を通じて身につけるべきもの(金融リテラシー)は何か、
金融経済教育の推進をどう行っていくのか等について、報告書が取りまとめられる
見通しです。
政府の動きに注目しつつ、草の根的に学習運動を起こしていくことが大事な時期に
きているように感じます。
読者の皆様からも、金融経済教育の内容や推進の方法等についてご意見、ご提案を
お寄せいただければ幸いです。
宛先はyumiko.nagasawa59@gmail.comまで。
(報告者:永沢裕美子)
2. フォスター・フォーラムが注目するベター・プラクティス
~ 投資信託協会が通貨選択型投信等の目論見書の文言を見直しへ
2月21日に投資信託協会が、通貨選択型投信の目論見書の説明ルールの変更
を発表しました。
http://www.toushin.or.jp/publiccomment/ichiran/8678
詳しくは、同協会のホームページをご覧いただきたいと思いますが、その仕組み
の説明において、従来「為替ヘッジ取引」としていた部分を「為替取引」と改める
ことになりました。
「ヘッジ」という文言は、一般社会では、リスクを回避するという意味で使わ
れており、為替変動リスクがない商品と誤解する投資家もいるとの指摘があり、
表現の見直しが行われたようです。
投資信託には、機関投資家のようなプロの世界で使われる手法や投資対象に、
一般個人投資家がアクセスする機会を提供する意義があることは否定しませんが、
プロの間で使われる専門用語が一般社会では通用しないことが往々にしてある
のも事実です。
リーテール向け金融商品の開発者の腕の見せ所は、新商品を設計するだけでなく、
ユーザーの金融リテラシーを踏まえて、間違った理解が生じないような説明を工夫することにもあるはず。
今回の変更は、消費者団体等からの指摘を受けての動きと聞いていますが、業界が
自主規制ルールの変更に動いたことは、一般投資家の目線に近づこうとする努力
であり、大きな一歩と評価できるのではないでしょうか。
3. 編集後記
「『長期投資仲間』通信~インベストライフ」をご存知でしょうか? 今から
10年以上も前になりますが、日本に本当の長期投資を根付かせるためにと、
資産運用ビジネスの第一線で活躍されている方々が集まって発行し始めた月刊
情報誌です。
地方の購読者がサロンを開催し、そこにインベストライフの編集者たちが講師
として招かれ、レクチャーする活動も展開されてきました。
紙媒体からインターネットでの発行に変わりましたが、毎月欠かすことなく発行
され、120号を超えるロングランとなっています。
「インベストライフ」の発行は、数年前から、私のかつての上司であり、尊敬
する師でもある岡本和久さんが引き受けられておられます。
岡本さんは、世界的な資産運用会社の日本代表を務められ、インデックス運用
の普及をはじめ、特に年金運用の合理化において多大な功績のあった方ですが、
還暦を迎えられたのを機にすっぱりと引退され、日本の一般個人に資産運用や
投資について学ぶ機会を提供するための活動をライフワークとして展開されて
います。
昨年まで有料でしたが、一人でも多くの人に読んでもらい、長期投資の仲間を
広げたいという岡本さんのご厚意により、今年から無料で読めるようになりま
した。
岡本さんらが主宰されている「インベストライフ」のような、草の根の金融経済
学習活動が、レベルには差がありますが、全国のあちらこちらで芽生えています。
こうした市民による市民のための自主的な取組みを積み上げていくためにも、
こうした活動を紹介しあい、研鑽しあえるような、そんなプラットホームづくりが
必要な時期に来ているように思います。
(報告者:永沢裕美子)
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