『フォスター・フォーラムだより』No. 64 2025年4月1日
発行:不定期
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全国から桜満開の便りが届き、街には新しいスーツの若い人たちが溢れ、その初々しさに思わず笑みがこぼれてしまいます。春ですね。
今回は、トピックスとして、先般、かつて野村の旗艦ファンドと言われた「ノムラ日本株戦略ファンド」が「ノムラジャパンオープン」に実質「併合」されることが決まったというニュースを受けて、「投資信託の併合」についてコメントしてみました。
今回も最後までお読みいただければ幸いです。
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★— CONTENTS —★
1. 定時総会のご報告
2.トピックス〜ファンド整理の主流として期待される「投資信託の併合」
3. J-FLECの認定アドバイザーの認定状況
4. 編集後記
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- 定時総会のご報告
さる1月29日に定時総会を開催し、今年度も金融教育を軸に活動していくことを確認しました。
また、創設時のメンバーだった石川由美子さんと学習会でお世話になってきた島義夫さんの理事就任が承認されました。
総会報告はホームページ https://fosterforum.jp よりご確認いただけます。
2.ファンド整理の主流として期待される「投資信託の併合」
野村アセットマネジメントが2月21日に、1996年に野村證券の旗艦ファンドとして設定した日本株アクティブファンド「ノムラ日本株戦略ファンド」について、運用成績の低迷が続いており、このまま継続しても顧客の利益にならないと判断し、プロダクト・ガバナンスの観点から、同ファンドの運用方針を同社の別の日本株アクティブ運用ファンド「ノムラジャパンオープン」と同一のものに変更するとともに、同ファンドに実質併合することを決定したと公表しました。
この約款変更は重大な変更であることから、株式会社の株主総会にあたる受益者集会が書面上で開催されることになり、受益者に通知が行われました。
詳細は https://www.nomura-am.co.jp/news/20250221KWNG5NV3.pdf
さて、投資信託の「併合」とは、企業で言えば合併に相当する手続きです。
欧米では、ファンド整理や小規模になったファンドの救済のための方法として用いられていますが、日本での導入は遅く、2007年に投資信託法を改正して手続きが定められたことで可能となりました。
ただし、上述のように、受益者の同意を求める手続き必要なことから、実務的に面倒だからでしょうか、これまで2020年に数本のファンドがこの手続きを利用したにとどまっており、ファンド数を減らす方法としては、日本では圧倒的に「繰上げ償還」が用いられてきました。
この「繰上げ償還」について、私たちフォスター・フォーラムは会の創設時より厳しい意見を申し上げてきました。
というのも、「繰上げ償還」は、当初約束した運用期間(信託期間)が過ぎていないにもかかわらず、ファンド規模が小さくなったことを理由に、投信会社が一方的に運用をやめて資産を返金するものだからです。
私たちは、ファンドの資産規模が小さくなると運用効率が落ち、運用成績の劣化の要因となることは理解していますが、受益者は目論見書に記載されている信託期間を見てそのファンドを購入しているという事実を、投信会社や販売会社には大切に考えていただきたい、ファンドの「併合」という方法があるのですから、これを是非とも使っていただきたいと伝えてきました。
ところが、残念なことに、金融庁が2022年の資産運用業高度化プログレスレポートの中で「(ファンド)数やリソースに応じた体制整備を進めることが必要」と指摘したことを受けて、「繰上げ償還」に踏み切る投信会社が増えてきています。
この状況を私たちは少々残念に思っていましたが、それだけに、この度の野村アセットマネジメントの汗を流して「併合」を行うという選択を、私たちは高く評価したいと思います。
日本の投資信託の品質向上には投信会社の運用力の向上が不可欠であり、そのためには、ファンドを整理して運用効率を高めていくことが急務であることに私たちも異論はありませんが、その方法として、一方的な「繰上げ償還」ではなく、形式的であれ、受益者が決定に参加できる「併合」という方法が主流となっていくことを期待しています。
3.J-FLECの認定アドバイザーの認定状況について
昨年8月から本格始動した金融経済教育推進機構(J-FLEC)が、認定アドバイザーの認定状況(PDF)について公表しました。
https://www.j-flec.go.jp/wpimages/uploads/oshirase_11631.pdf
1月7日現在で、全国で1,144名が認定アドバイザーとして認定を受けており、総数としては期待以上の成果を上げてきていると言えますが、
内訳を見ると、都市部に集中している一方、0人という県(高知県)もあり、地域差が見られます。
自治体の金融教育の取り組みに温度差があるということでしょうか。
ともあれ、こうしたデータが集められ公表されることにより、金融教育のPDCAを回していくための重要な手がかりを得ることができると言えるでしょう。
4. 編集後記
【ご参考】
世話人の永沢裕美子が国際金融研究センター(IFRC)のインタビューに応じ、日本の投資信託が国民の信頼に応える商品に育つまでの歩みと課題についてお話ししました。記事はこちらからお読みいただけます。https://ifrc.or.jp/nagasawayumiko-caretaker/
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