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フォスター・フォーラムだより No.7

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このメッセージはBccで送信させていただいております。

急に冷え込んでまいりましたが、お変わりありませんか。
フォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)です。
『フォスター・フォーラムだより』第7号をお届けします。

最近、大変興味深い資料を拝見しましたので、皆様にも共有させていただきたいと思います。
知るぽると(金融広報中央委員会)が9月21日公表した、日本人の「金融力調査」の結果です。
http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/kinyuryoku2011/index.html

結果の一部をご紹介すると、
・1年間の金利(単利)の計算は8割が正答と高いが、複利計算は正答率が3割と低く、海外(ドイツやイギリス)と比べても低い
・比較せずに金融商品を購入する人が多く、特に生命保険やローンで特にその比率が高い
・高齢者は自らの知識や判断力への評価は高いが、知識面での正答率が低い
金融や経済に関する情報に接する度合いと知識の相関度が高い
・インターネットを接続できる環境にない人や、接続できるが全く使わないという人が回答者の4割近くいる  等です。
今後の金融経済教育のあり方を考える上で、重要な示唆を与えてくれるデータがたくさんあります。
是非ご覧になってみてください。

今回の『フォスター・フォーラムだより』では、
恒例の金融審・投信法WGの報告に加えて、
「もっと聞かせて」というリクエストの多かった米国バンガード社訪問記の続きを書かせていただきましたいております。
また、編集後記では、当会代表の高橋伸子が関わっている活動についての一部を紹介させていただいております。

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『フォスター・フォーラムだより』 No.7       2012年10月31日
発行:不定期
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★—★ CONTENTS ★—★
1. 金融審・投信法WGの後半戦のご報告
2. 米大手投信会社バンガード社の成功の秘密
3. 編集後記〜当会メンバーの活動紹介
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1. 金融審・投信法WGの後半戦のご報告

金融審・投信法WGが再開されました。

Jリート(投資法人)と投資信託が交互に審議されていて、
第四回目(前半戦からの通算では第 回目)が終わったところですが、
12月にはWGとして報告書を取りまとめることになっており、
次回(11月9日)と次々回(11月30日)は重要な回となると思われます。
これまでの審議については、金融庁のこちらのページをご覧ください。

投資信託について、分散投資の義務づけやデリバティブの利用の制限といった商品規制を導入すべきかどうか、が重要な論点となっています。

欧米では、明文で、一銘柄への投資比率は原則、ファンドの純資産の10%以内または20%以内であること等の分散投資規制が課されていますが、
規制緩和後の日本の投信法にはそういった規制がなく、
原則“何でもできる”ことになってしまっています。

こうした規制緩和によって可能になったのが、ノックイン投信に代表される仕組投信でした。
仕組投信とは、店頭デリバティブ取引を組み込んだ仕組債券を一銘柄もしくは二銘柄発行してもらって、それ(ら)を組み込んで組成されます。

投資期間は3〜5年と短く、預金の利息と比べて高額の分配金が定期的に支払われ、“一定の条件”が成就しなければ、最終的に元本が戻ってくるという“夢のような商品”ですが、
実際には、“一定の条件”が成就してしまい、投資したお金が半分になってしまい、トラブルになっているケースが多発しているのです。
とりわけ、退職者が退職金でこの種の商品を1千万円、2千万円という単位で買っていることが多く、問題は深刻です。

日本の投資信託、これでいいのでしょうか。
日本の投資信託は、長期的に分散投資をして、その結果、実体経済にお金を回す役割を果たす金融商品である、という基本原則に立ち返る必要があるのではないでしょうか。

今回の商品規制には入っていませんが、
私たちは、フォスター・フォーラムとしては、投資家の多様なニーズに応えるような商品開発を応援していますが、「商品規制の導入はやむなし」と考えています。

ファンド・オブ・ファンズの利用についても、一定の歯止めをかける必要があるのではないか、のではないか、と私たちは考えています。

10月26日の第 回WGでは、大変興味深い資料が参考資料として配付されました。
こちらをご覧ください。

販売チャネル別の売れ筋投信リストですが、銀行や証券会社で売れている商品の多くがファンド・オブ・ファンズになってしまっていますいます。
ファンド・オブ・ファンズとは、他社の運用する投信に投資をしている投信です。
2000年の規制緩和で解禁され、あっという間に日本の投信の多くがこの形態となってしまいました。

ファンド・オブ・ファンズには、二つの問題があると言われます。
①コストの問題(信託報酬が二重にかかる)と②透明性の問題(何に投資しているのかの把握が難しい)です。の問題があると言われています。

私たちは、ファンド・オブ・ファンズの利用をについて、全面的に否定するつもりはありませんが、一定の合理性のある場合に限って利用を認めるべきと考えています。
例えば、、つまり、ファンド・オブ・ファンズを利用しなくてはならない理由(必要性)と併せてと併せて、上述の二つの問題をクリアできるという根拠を、投信会社に対して、投資信託の設定前に明らかにすることを、投信会社に義務づけること等が考えられるのではないでしょうか。

私たちは、今回の投信法WGでは論点として取り上げられなかった問題点を、今後も引き続き問題提起していきますので、応援よろしくお願いいたします。

義務づける等

11月30日開催予定の回で、WGとしての方向性を明らかにし、報告書を提出した後に、パブリック・コメントが求められることになるのではないかと思われます。

2. 米大手投信会社バンガード社の成功の秘密金融経済教育をめぐる新しい動き

前号で、バンガード社を訪問したことを報告した後、複数の方から、詳しく報告を聞きたいというお話をいただきました。
そこで、今回は、同社の経営戦略を担当する 氏から伺った「バンガード社の成功の秘密」についてお伝えしたいと思います。

同氏曰く、バンガード社の成功には、他社が真似できることと、他社には真似できなないことがあるとのこと。
まず、他社が簡単に真似できることですが、

これに対して、他社が真似できないこととして挙げたのが「」です。

今回のバンガード・ツアーには9名

3. 編集後記

バンガード社は、「20世紀の投資業界の4人の巨人」の一人と言われるジョン・C・ボーグル氏が、1975年に設立した投信会社です。
当会の石川由美子が翻訳した『マネーと常識〜投資信託で勝ち残る道』は、ボーグルが一般人の投資のために書かれた名著です。
また、2008年に出た“Enough”は、ボーグルが、投資家から利益をかすめ取る金融業界のあり方を痛烈に批判し、資産運用業のあるべき姿について述べた本です。
『波瀾の時代の幸福論〜マネー、ビジネス、人生の「足る」を知る』というタイトルで日本では出版されていますが、”Enough=足るを知る”という原題の方が本の内容に沿っていると思います。軽く読める本ですので、こちららも一読をおすすめします。

ボーグルやバンガード社は初耳という方は、こちらをご覧ください。
https://www.vanguardjapan.co.jp/content/perspective/story/story_home.shtml

噂に聞くバンガード社を実際に訪問してみて、
「投資家(顧客)の利益のために」という言葉を掲げている資産運用会社はたくさんありますが、
バンガード社では、「顧客の利益のため」の具体的な実践や工夫が随所で行われているとの印象を受けました。

かつて商品企画を担当していた者として、自戒もこめて、バンガード社で聞いた次の3つの言葉を紹介したいと思います。

「75年にインデックス・ファンドを立ち上げてから5年間は、資金が集まらず苦労した。しかし、5年経って実績が出てきたら、まずジャーナリストが正当な評価をしてくれるようになり、口コミでファンドの評判が伝わり、資金が集まるようになった。」

「20年後、30年後にも必要とされていると確信できるファンドでなければ、バンガード社ではファンドの新設は許されない。どんなに市場で人気があっても、どんなに強く要請されても、その原則は崩せない。」

「お客様のお金で実験をしてはならない、というのがボーグル会長の口癖だ。」

(報告者:永沢裕美子)
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