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『フォスター・フォーラムだより』第27号をお届けします(7/20)

『フォスター・フォーラムだより』第27号をお届けします。
今回は、金融庁が7月3日に公表した『金融モニタリングレポート』から、投資信託の運用態勢や販売態勢に関する検証結果について報告している箇所を取り上げて紹介しています。

以下は、金融経済教育に関心のある方への情報提供です。
金融広報中央委員会(知るぽると)が、昨年の『大人のための 暮らしとお金の知恵』に続いて『大学生のための 人生とお金の知恵』を作成し、希望者に無料で配付しています。
消費者教育を担う方々にもガイドブックとしても活用いただきたいとのこと。
内容について知りたい方はhttp://www.shiruporuto.jp/life/arakaruto/daigakusei/ をご覧ください。
実物を手に取ってお読みになりたい方は、books@saveinfo.or.jp宛に、件名に「刊行物請求」と記載し、本文に①申込者氏名、②郵便番号、③送付先住所、④電話番号、⑤「大学生のための 人生とお金の知恵」、希望部数、⑥利用目的、利用日、⑦その他連絡事項 を記入したメールを送ってお申し込みください。

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『フォスター・フォーラムだより』 No.27       2015年  7月20日
                          発行:不定期
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★―★ CONTENTS ★―★
1.『金融モニタリングレポート』報告〜金融庁は投信の運用・販売態勢をどう評価したか?
2. 編集後記
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1.『金融モニタリングレポート』報告〜金融庁は投信の運用・販売態勢をどう評価したか?

金融庁が今月3日に、金融機関に対するこの1年間のモニタリング(検証)の結果と課題を『金融モニタリングレポート』としてとりまとめ、公表しました。本レポートは金融庁のこちらのページ http://www.fsa.go.jp/news/27/20150703-2.htmlからお読みいただけますが、
とりわけ、投資信託の運用態勢と販売態勢について興味深い事実と踏み込んだ指摘を行っています。ここでは、特に注目すべき指摘について紹介したいと思います。
まず、投資信託の運用会社(投信委託会社)についてですが、
ファンド数が多すぎ、しかも小規模なものが乱立しているため、運用者による管理が行き届かなくなる可能性があると指摘し、むやみにファンド数を増やすことを止め、コアとなる長寿ファンドを育てることを求めています。
また、日系の運用会社において、社長・取締役・監査役の8割が系列の販売会社(証券会社や銀行)出身であるという事実や、商品の5割超を系列の販売会社経由で販売している運用会社が半数を超えているという事実を挙げ、系列の販売会社との強い結びつきを指摘しています。
そして、「販売会社にとって売りやすい資産を対象とした投資信託や、仕組みが複雑で高い販売手数料を得られる投資信託が多数提供されている現状をみると、投信会社が顧客のニーズよりも、系列の販売会社のニーズに重きを置いているのではないかとの見方もできる」とまで述べ、系列にこだわることなく、資産運用業務に精通したプロフェッショナルな人材の経営陣への登用や独立社外取締役の選任など、経営の独立性確保に向けた取組みを業界に求めている点が注目されます。
続いて、投資信託の販売会社の態勢については、
平均保有期間は、短期化傾向は止まったものの、2年程度の短い期間で推移していることや、販売手数料率の平均値は年々上昇傾向にあり、2010年3月の2.74%から2015年3月には2.96%となっていること、米国では手数料は年々低下傾向にあり、その水準も0.9%(株式型とバランス型)と日本よりもかなり低いことを指摘しています。

そして、昨年と比べるとストック重視の動きが強まっており、コンサル営業を行なう動きが見られるものの、検証先の銀行において、投資信託の保有銘柄数が1銘柄のみという投資家が半数を占めており、それもリスクの高い商品を保有する顧客が少なくないと推定できることから、分散投資を推奨する取組みが浸透しているとは言えない、と指摘しています。

今回の検証では「販売手数料の設定根拠」についてヒアリングをしています。そして、8割の販売会社が「商品説明の負荷」を挙げたが、同じ商品を対面とインターネットで販売している場合にインターネットの方の手数料を安くしている販売会社は4割にとどまっており、「商品説明の負荷」を手数料率の設定根拠とすることは合理性が乏しいと、と踏み込んだ指摘をしています。

今後の課題として金融庁は、商品開発、販売、運用、資産管理それぞれに携わる金融機関が「フィデューシャリー・デュ―ティー(受託者責任)」を実際に果たすことを求めています。当会は、当会設立の2004年から「良質な金融商品」の条件の一つとして「受託者責任が全うされていること」を掲げてきましたが、私たちの想いが当局にも伝わったようで嬉しく思うと同時に、「良質な金融商品」の4つの条件の実現に向けて引き続き活動をしていきたいと考えています。

《フォスター・フォーラムが考える「良質な金融商品」の4つの条件》
① シンプルであること
② コストが適正で明示されていること
③ 適合性の原則が遵守されていること
④ 受託者責任が全うされていること
(報告者:永沢 裕美子)

2.編集後記
◆今回は久々に投資信託について報告させていただきましたが、折しも、『投資信託事情』編集長の島田知保さんから、米国モーニングスターが1年おきに行っている『グローバル・ファンド・インベスター・エクスペリエンス(GFIE)レポート』について情報提供いただきました。
このレポートは1年おきに発行されており、世界の25の国・地域の投資信託市場を評価対象とし、モーニングスターのリサーチャーが、投資家にとってよい環境であるかという観点で調査したものとのこと。
今回の調査結果では韓国と米国の2カ国が最高の評価(A)となり、中国が最低の評価(D)、日本は前回同様、8段階の下から2番目の評価(Cマイナス)だったそうです。
島田さんによれば、投信法改正や運用報告書の二分冊化などの取組みは評価されたものの、グローバルな情報開示の流れから、総経費率の開示義務がない点や、運用担当者の氏名および当該ファンドの運用担当期間の開示がない点、年1回決算の投信について保有銘柄の開示(運用報告書)が年1回でよい点などが不十分と指摘され、低い評価となってしまったそうです。
米国モーニングスターの日本拠点であるイボットソン・アソシエイツ・ジャパン社のご厚意により本レポートの日本語抄訳をこのメールに添付させていただきましたので、関心のある方はこちらもお読みください。
◆金融庁の人事異動が終わり、金融審議会での審議が本格的に動き始めました。今年は2つのワーキング・グループが設置されています。
「金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ」(座長は岩原紳作早稲田大学大学院教授)は4回を終え、メガバンク3行と外銀1行から要望等をヒアリングしたところで、第5回が7月29日(金)の午前10時から開催されます。
「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」は第1回が7月23日(木)の午前9時半から開催されます。
どちらも、どなたでも傍聴できます。詳細はこちらをご覧ください。http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/base.html
(担当者:永沢裕美子)
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発行元/フォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)
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